「DXは進めたいけど、初期投資が大きすぎる…」
そんな悩みを抱えてDXに踏み込めずにいる経営者は少なくありません。そこで活用したいのが、政府が用意している補助金・助成金の制度です。
2025年は政府が過去最大の3,400億円をDX支援に投じて、さらに最大5億円までの大型投資も支援対象となりました。
この記事では、2025年に活用できる補助金・助成金の全体像から、申請ステップ、成功のポイントまでを体系的に解説します。
補助金・助成金を活用してDXにアプローチ
1. 補助金・助成金の活用がDXに与える影響
「システム導入に1,000万円かかる…」、「ROIが見えない中での大型投資は不安だ」、多くの中小企業がDX推進で直面するのが、こうした資金面での課題です。しかし、補助金・助成金を上手く活用することで、このハードルを大幅に下げることができます。
財務面でのインパクト
- まず最も大きいのが初期投資負担の軽減効果です。例えば1,000万円のシステム投資でも、補助金を活用することで実質330万円での導入が可能になります。これにより投資判断のハードルが大幅に下がります。
戦略面での効果
- 最新技術を早期導入することで競合他社と差別化が図れ、資金に余裕が生まれることで新たなビジネスへのチャレンジも可能になります。また補助金申請のステップを通じて自社を見つめ直すことで、社内の意識変化と組織変革も加速されます。
2. 補助金・助成金の違いとは?
「補助金と助成金、どちらを選べばいいの?」という疑問をよく耳にします。実は、この2つには明確な違いがあり、DXの進め方によって最適な選択肢が変わってきます。
項目 | 補助金 | 助成金 |
---|---|---|
こんな時に選ぶ | 大型システム導入(新事業の立ち上げのためなど) | 人材育成(働き方改革など) |
採択の仕組み | 競争審査(30~70%が採択) | 要件クリアで原則受給可能 |
金額の特徴 | 数百万〜数億円の大型支援 | 数十万〜数百万円の継続支援 |
申請の難易度 | 事業計画書が重要 | 比較的シンプル |
支給タイミング | 事業完了後の後払い | 事業完了後の後払い |
大胆な投資なら補助金、従業員育成なら助成金を選ぶと良いでしょう。
3. 補助金や助成金を利用する際の注意点
せっかく採択されても、「知らなかった」では済まされないルールがいくつかあります。事前に把握しておくことで、スムーズな活用が可能になります。
気をつけたいポイント
- 契約・購入は採択後に行うこと(採択前の経費は対象外となります)
- 申請に必要なGビズIDは早めに取得すること(発行まで2週間程度かかる場合があります)
- 補助金・助成金は後払いが基本(消費税は対象外なので予算計画に注意が必要です)
- 領収書や契約書は5年間保管すること
2025年注目のDXに利用できる補助金・助成金
1. 2025年は、企業の生産性向上を支援する補助金が拡大
予算規模が前年の2,000億円 から3,400億円(**1.7倍の大幅増)になるなど、国も企業の生産性の向上に力を入れています。この予算増額は、DX・IT導入から設備投資、販路開拓、事業承継・M&Aまで、中小企業の生産性向上の取り組み全般を包括的に支援するためのものです。デジタル化はもちろん、あらゆる角度から企業成長を後押しするものとなります。
2. 2025年注目の補助金
2025年に拡充や新設されるなどされた注目度の高い補助金制度を3つご紹介します。どれも規模や目的別に設計されており、幅広い企業のDX推進に活用できます。
中小企業省力化投資補助金
- 補助上限:最大1億円(補助率:1/2または2/3、賃上げ特例などあり)
- 概要:IoTやロボットなどを活用した「省力化」に効果があるオーダーメイド設備の導入を支援
- ※第3回の応募申請は締め切り。(2025年9月10日時点)
この補助金を使ってできること
- RFIDによる一括読み取りシステムの導入
- デジタルピッキングシステム(DPS)の導入
- 自動搬送ロボット・AGVの導入
- AI画像検査システムの導入
- 専用の在庫管理・物流システムの導入
- ECと連動した自動化システムの導入
中小企業新事業進出補助金
- 補助上限:従業員数に応じて2,500万〜9,000万円(賃上げ特例でさらに上乗せ)
- 概要:既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出を図る企業を支援
- ※第1回公募の応募申請受付は終了(2025年9月10日時点)
この補助金を使ってできること
- 実店舗のみの販売から、ECサイト構築・モール出店へ
- BtoB向けの既存事業から、BtoC向けプラットフォーム構築による新事業進出
- 卸売から、D2C(直販)モデルへの転換
- サブスクリプションサービスの立ち上げ
- AIを活用した新サービスの開発
中小企業成長加速化補助金
- 補助上限:最大5億円(補助率:1/2)
- 概要:売上100億円を目指す成長志向の中小企業が、大規模な設備投資を通じて生産性向上などを実現するための支援制度
- ※第1回受付終了(2025年9月10日時点)
3.使いやすさが大幅アップした継続制度
従来からある制度も、2025年は「ただの継続」ではありません。使いやすさと支援範囲が大幅にパワーアップしています。
ものづくり補助金(2025年版)
大幅に使いやすくなり、返済義務なし・制度枠の見直し・申請しやすい構成へ進化している。
- 補助上限:最大 4,000万円(従業員規模・賃上げ特例に応じて拡大)
- 変更点(2025年 vs 2024年):
- 収益納付義務を撤廃:補助事業の成果で利益が出た場合でも、補助金の返還義務がなくなった
- 申請枠の整理・統合:従来の「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」が2つに整理され、過去の「省力化枠(オーダーメイド)」は廃止された
- 補助事業期間が延長され、交付決定日から最大10ヶ月(採択発表日から12ヶ月以内)になった
- 賃上げ特例(最低賃金引上げ対応)あり:補助率が最大2/3に引き上げられる特例が創設されている
小規模事業者持続化補助金(2025年創業型)
2025年では申請枠が見直され、「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」「創業型」が登場しました。「創業型」では創業間もない企業でも申請しやすい設計に進化しています
- 補助上限:最大 200万円(特例適用時は最大250万円)
- 変更点(2025年 vs 2024年):
- 「創業型」:創業後3年以内の小規模事業者に特化した支援枠で、経営計画に基づく販路開拓等をサポート。補助率は2/3(特例でさらに上乗せあり)
- 従来の「通常枠」は継続(補助上限50万円、特例活用で最大250万円)
IT導入補助金(2025年版)
上限額は据え置きですが、支援範囲や補助率、セキュリティ枠での条件が強化されました。特に、導入後の研修費用・マニュアル作成費用・保守サポート費用などにも活用できるようになり、「システムは導入できても、使いこなせる人材がいない…」といった悩みを解消し、システム投資と同時に進めることで、真のDX実現が可能になります。
- 補助上限:最大 450万円(前年同様)
- 変更点(2025年 vs 2024年):
- 補助対象経費が拡充され、導入後の研修費用・マニュアル作成費用・保守サポート費などの活用支援も対象に加えられた
- 最低賃金近傍事業者には補助率が「1/2」から「2/3」へ引き上げ(要件あり:従業員の30%以上が地域別最低賃金+50円以内の賃金で3ヶ月以上雇用)
- セキュリティ対策推進枠の拡充:補助率が小規模事業者で「2/3」に引き上げられ、補助金上限額も最大150万円に拡大(2024年は最大100万円)
💡THRIVEXはIT導入支援事業者として登録済み。「shopikin(EC店舗統合DXプラットフォーム)」も補助対象ツールとして登録されているため、スムーズな申請が可能です。
DXで補助金・助成金を活用するためのステップ
1. 企業の事業内容とDXの目標の把握
いきなり補助金を探し始めるのではなく、まずは自社の現状と目指すべき姿を明確にすることから始めましょう。目標設定は、抽象的な目標ではなく、できるだけ具体的な数値目標を設定することが大切です。
現状分析のチェックポイント
- 業務プロセスの棚卸し
- どの業務に最も時間がかかっている?
- 手作業で行っている作業はどれくらいあるか?
- エラーが発生しやすい工程は?
- IT環境の現状把握
- 使用中のシステムとその満足度
- システム間の連携状況
- セキュリティ対策の実施状況 など
- 人材・スキルの現状
- IT担当者のスキルのレベルは?
- 一般社員のデジタルリテラシーのレベルは?
- 外部サポートへの依存度 など
2. 補助金・助成金のリサーチ
目標が明確になったら、それを実現するための最適な制度を探します。情報を収集し、申請のために必要な要件の確認を行いましょう。
情報収集の効率的な進め方
- 公式情報を最優先する
- 中小企業庁の公式サイト
- 各補助金の事務局サイト
- 中小企業基盤整備機構
- 地域情報も要チェック
- 商工会議所・商工会
- 都道府県・市町村の独自制度
- 業界団体の支援制度
- 専門家の活用
- 認定支援機関(税理士・中小企業診断士)
- 補助金申請支援会社
- セミナー・説明会への参加
3. 必要書類の収集と申請書の作成
採択の可否を決める最も重要な工程です。特に事業計画書は、審査員に「この会社なら成功する」と思ってもらえる内容にする必要があるため非常に重要になってきます。
申請前の最終チェックリスト
- 書類完備の確認
- 申請書の全項目の記入完了
- 事業計画書のページ数などを確認
- 必須書類の漏れがないか
- ファイル形式・サイズ制限の遵守
- 数値・内容の整合性
- 申請書と事業計画書の金額の一致
- 見積書と経費明細の整合性
- 補助率計算の正確性
- 誤字脱字・記載漏れのチェック
電子申請のコツ
- 事前準備
- GビズIDでのログイン確認
- 推奨ブラウザのインストール
- 安定したネット環境の確保
- 提出作業
- 締切1週間前を目標に提出
- 平日の日中の時間帯を選択
- システムの混雑時を避ける
- 提出完了画面をスクリーンショット保存
4.申請後のフォローアップ
採択の場合、交付申請書を速やかに提出し、事業の実施体制の最終確認を行います。実績報告に必要な書類等はきちんと保管しておきましょう。
まとめ
1. 2025年の特徴
2025年は、中小企業のDX推進にとって「千載一遇のチャンス」と言っても過言ではありません。史上最高の3,400億円という予算拡大、最大5億円までの大型投資の支援や、オーダーメイドシステムへの対応など、企業のデジタル導入が後押しされています。
2. 最後に
DXは単なる「システム導入」ではなく、「企業変革」です。
2025年の豊富な支援制度は、その変革を後押しする強力な追い風となります。しかし、補助金は「手段」であって「目的」ではありません。
一番大切なのは、「なぜDXを推進するのか」という目的を明確にし、「どのような企業になりたいのか」というビジョンを持つことです。その上で、2025年の充実した支援制度を最大限に活用し、競合他社に差をつける決定的な一手を打ってください。変化の時代は、行動する企業にとって最大のチャンスです!
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サポート内容
- 最適な補助金のご提案
- 申請書作成のサポート
- shopikin導入のご相談
- オーダーメイドシステムの設計
- 採択後の実行支援
参考情報・注意事項
参考情報
注意事項
本記事は2025年9月10日時点の情報に基づいています。補助金制度は頻繁に変更されるため、申請前には必ず各制度の最新公式情報をご確認ください。
より詳細な相談が必要な場合は、認定支援機関や専門家にご相談されることをお勧めします。
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DXで困っている経営者の方々に、この情報が届くことを願っています。