IT導入補助金2025とは
IT導入補助金の目的
IT導入補助金は、労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
国が中小企業・小規模事業者等のデジタル化推進を支援することで、単なるIT化にとどまらず、企業の根本的な競争力向上と持続的成長を実現することを目指しています。業務効率化による時間短縮・コスト削減から、DXによるビジネスモデル変革まで、幅広い労働生産性向上の取り組みをサポートする制度です。
IT導入補助金対象となるには一定の条件がある
ただし、補助金の対象となるには一定の条件を満たす必要があります。例えば、対象となるITツールは「IT導入支援事業者及びITツール」で検索されるものに限られます。また、事業者自身も中小企業者や小規模事業者であることとされています。また、申請を行う際には、このIT導入によってどのような業務改善や効率化が期待できるのか、具体的な内容を示す必要があります。
2025年版の主な制度変更・拡充ポイント
最低賃金近傍の事業者への支援強化: 3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上である事業者について、通常枠の補助率が「2/3」へ拡大されました。
セキュリティ対策の強化: セキュリティ対策推進枠の補助額上限が「150万円」へ拡大され、小規模事業者に対する補助率も「2/3」へ拡大されています。
IT活用支援の対象化: IT導入後の活用を促進するための「活用支援」が新たに補助対象に追加され、導入だけでなく実際の活用定着まで支援されます。
補助対象になる5つの事業枠
通常枠: 自社の課題に合致したITツールを活用して、業務の効率化や売上の向上を目指す。補助額は5万円から450万円、補助率は1/2(最低賃金近傍事業者は2/3)。
インボイス枠(インボイス対応類型): インボイス制度に適合した会計、受発注、決済ソフトウェアの導入に加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入も支援。小規模事業者は最大4/5の高い補助率。
インボイス枠(電子取引類型): インボイス制度をサポートする受発注システムを商流ごとに導入し、企業間の電子取引を促進する。
セキュリティ対策推進枠: 増加するサイバー攻撃の潜在的リスクに対応し、サイバーインシデントに関連するリスクを減少させるための様々な対策をサポートする。補助額上限150万円、小規模事業者は補助率2/3。
複数社連携IT導入枠: サプライチェーンや特定の商業集積地に所属する複数(10者以上)の中小企業や小規模事業者が協力してITツールを導入し、生産性を高める支援を行う。
IT導入補助金2025の申請の流れ
申請から採択までの流れ
IT導入補助金の申請手続きは、初めての方は複雑に感じるかもしれませんが、一つ一つ確実に進めていくことで、スムーズに結果を得ることができます。
補助事業への理解
サイトや公募要領を読み、補助事業について理解します。募集の詳細を把握した後は、IT導入に関する計画を策定します。このプロセスでは、どのITツールを利用するか、その導入によってどのようなメリットが得られるかをハッキリさせることが必要です。
「gBizIDプライム」アカウントの取得
「gBizIDプライム」アカウントの取得は、IT導入補助金の申請に欠かせないステップの一つです。「gBizIDプライム」は、補助金申請のための公式なIDであり、これを取得しなければ申請はできません。取得方法は、専用のウェブサイトにアクセスし、必要な情報を入力していくだけで、比較的手軽に行うことができます。
「SECURITY ACTION」の実施
交付申請を行うためには、「gBizIDプライム」のアカウントを取得し、さらに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による「SECURITY ACTION」プログラムへの参加表明が求められます。このプログラムは、中小企業や小規模事業者が情報セキュリティの強化に自ら取り組むことを公に宣言する仕組みであり、宣言時には「★一つ星」もしくは「★★二つ星」のレベルを明示する必要があります。申請書を作成する際には、この宣言を行った際のアカウントIDの記載が必須になります。
「みらデジ経営チェック」の実施
「みらデジ」ポータルサイトでgBizIDによる登録後、「経営チェック」を行うことが求められます。この「みらデジ」は、中小企業庁が推進する制度で、中小企業や小規模事業者の経営上の問題をデジタル技術を用いて解決する支援を目的としています。
「みらデジ経営チェック」とは、企業が現在のデジタル化の進捗度を確認し、将来のデジタル化の推進に向けて必要な課題や取り組みの方向性を明らかにするための支援ツールです。IT導入補助金を申請する際には、このチェックを完了させ、得られた結果を提出書類に含める必要があります。
(参考)「みらデジ経営チェック」5つの設問項目
- 経営者としての夢・ビジョンについて
- 経営上の課題について
- ITツール・デジタルサービスについて
- 経営やデジタル化に対する取り組み状況や意識について
- 経営課題への解決方向について
『みらデジ経営チェック』の活用メリット
ITツールの選択に先立って重要になってくるのは、企業が直面している経営上の問題点を理解することです。たとえIT導入補助金を利用してITツールを導入したとしても、そのツールが企業の特定の問題に対応していなければ、経営の向上にはつながりません。企業はまず、現在直面している課題やデジタル化の現状を考慮して、どの問題に取り組むべきかを明確にする必要があります。「みらデジ」とは、中小企業庁が提供する、中小企業や小規模事業者の経営課題を特定し、デジタル化を通じてそれらを解決するための支援を行うプログラムです。
「IT導入支援事業者」と「ITツール」の選択
補助金申請の手続きを始めるにあたり、企業はまず自身の業界、規模、そして直面している経営上の課題を考慮し、それに基づいてIT導入をサポートする業者と共に導入を検討するITツールを選び出します。
事業計画策定、交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)
適切なITツールおよびIT導入支援業者を選択した後は、具体的なビジネスプランを策定します。このプロセスでは、IT導入を支援する業者と連携し、導入するITによってどの経営上の問題が解決されるか、どんな改善が期待できるかを詳しくまとめ上げます。さらに、IT導入支援業者との商談を通じて、補助金申請に必要な事業計画を完成させます。
その後、中小企業・小規模事業者等のみなさまの交付申請は、以下の流れで行います。
- IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
- 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
- IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する。
- 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。
審査結果により、補助金の交付が決定されます
ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
補助金が交付されることが決まった後に、実際にITツールの契約や導入作業を開始します。補助金の交付が決定する前に、発注や契約、支払いを実施してしまうと、補助金を受け取る資格を失うことになるので注意が必要です。
事業実績報告
補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払いなどを行ったことが分かる証拠を提出します。証拠の提出は、以下の流れで行います。
- 小企業・小規模事業者等の皆様が『申請マイページ』から事業実績報告に必要な情報の入力および証憑の添付を行い、事業実績報告を作成します。
- 事業実績報告が作成された後、IT導入支援事業者が内容の確認および必要情報の入力を行います。
- 最終確認後、中小企業・小規模事業者等の皆様が事務局に事業実績報告を提出します。
補助金交付
事業の成果報告を終えて補助金の額が決まると、『申請マイページ』上で補助金の金額を確認することが可能になります。この金額を確認した後、補助金が支給されます。入金タイミングは補助金額の確定からおよそ1か月後が目安です。
事業実施効果報告
IT導入補助金を使用した後の重要なプロセスに、事業効果の報告があります。補助金受給事業者は、「申請マイページ」へのログイン後、要求される情報を正しく、かつ詳細に提供することが求められます。
報告内容には、導入したITツールの詳細、そのツールによって得られた成果、及びその成果が全体の事業運営にどのような影響を与えたかについての記述が含まれます。提供された情報は、IT導入支援業者によって検証されます。
IT導入補助金2025の申請スケジュール
申請期間
IT導入補助金2025の申請期間は2025年3月31日(月)から受付開始となっており、複数回の締切日が設けられています。
主要スケジュール
- 第5次締切: 2025年9月22日(月)17:00(通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠)
- 第6次締切: 2025年10月31日(金)17:00
- 第7次締切: 2025年12月2日(火)17:00
複数社連携IT導入枠については別スケジュールとなっており、第2次締切が8月20日に設定されています。
交付決定時期
各締切から約1か月程度で交付決定の通知が行われる予定です。例えば、第5次締切分については2025年10月31日(金)に交付決定予定となっています。
IT導入補助金2025の申請時の注意点
経営課題を明確化する
IT導入補助金を申請する際は、まず自社が直面している経営上の問題点をはっきりと把握することが重要です。
もし自社の課題が不明確だと、適切なITツールを選ぶことが難しくなり、結果として補助金の採択を逃すリスクが高まります。例えば、顧客管理の改善が必要な場合に、ウェブサイトの制作に注力するといった不一致があれば、補助金の採択が得られない可能性があります。
このような状況を避けるためにも、「みらデジ」を利用して経営課題を正確に特定し、それに適したITツールの導入を計画する必要があります。
補助金は後払いになる
補助金が交付されるのは、ITツールの発注や契約、支払いを行った後になります。入金タイミングは補助金額の確定からおよそ1か月後が目安です。
入金されるまでの期間は立て替えて前払いしておく必要性があるため、ITツールに投資する自己資金がなければ補助金の活用は難しくなります。
開業・設立1年目の申請は原則不可
開業・設立1年目の場合、IT導入補助金の申請は原則できないので注意が必要です。
なぜなら、IT導入補助金の申請には納税証明書が必要だからです。個人事業主で開業1年目、または法人設立1年目の場合、納税証明書の用意ができないため実質的に申請が不可となります。
2025年版特有の注意点
最低賃金近傍事業者の証明: 最低賃金近傍での雇用による補助率優遇を受ける場合は、該当する従業員が全従業員の30%以上であることを証明する必要があります。
活用支援の活用: 新たに追加された「活用支援」を有効活用し、ITツール導入後の定着まで視野に入れた計画を立てることが重要です。
早めの準備: 申請期間が長期にわたりますが、人気の高いITツールや支援事業者は早期に埋まる可能性があるため、早めの準備と申請がおすすめです。
まとめ
IT導入補助金2025は、中小企業や小規模事業者がDXを推進するための強力なサポートとなります。2025年版では最低賃金近傍事業者への支援強化、セキュリティ対策の拡充、活用支援の追加など、より実用的で包括的な支援制度に進化しています。
正しい手順で申請を行い、経営課題を明確化し、適切なITツールを導入することで、業務の効率化や売上の向上を実現することが可能です。特に2025年版の新制度を活用することで、ITツールの導入だけでなく、その後の活用定着まで含めた総合的なデジタル化支援を受けることができます。
申請スケジュールに余裕を持って準備を進め、補助金を最大限活用してDXの推進を実現しましょう。
弊社では、IT導入補助金の申請サポート
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