
株式会社 我流事典
株式会社 我流事典が経営する闘道館は、東京の巣鴨に店舗を構える格闘技プロレスグッズの専門店。扱う商品は中古本、ポスター、サイン、マスク、フィギュアなど幅広く取り揃えていて、ECと実店舗の両輪で販売している。
新しいECシステムへの移行を迫られる
闘道館は2001年に「格闘技プロレス図書館」として創業。2005年からは古物買取販売に特化し、「プロレス・格闘技の宝を時代を超えて伝えていくこと」を使命とする格闘技プロレスグッズの専門店に。社長の泉高志氏はTV「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士としても知られ、今ではプロレスマニアで闘道館を知らない人はいない老舗である。
館内には常時10万点を超える商品を展示・販売し、関連トークイベントも毎週多数開催。ECサイトでは毎日数百点の新入荷商品を更新している。
2013年の店舗移転計画に合わせて、POSデータとWebをリアルタイム連携する独自システムをオンプレミスで構築したが、10年以上機能の追加や更新を繰り返しながら使用する中で、不具合が多発。「時流に合わない」、「海外販売を強化したい」という思いが強くなり、システムリニューアルを決断するに至った。

―旧システムにはどんな不満があったのでしょうか?
―闘道館 館長 泉高志氏(以下、泉館長)
POSとECのデータベースを別々に管理していたので、イレギュラー処理をすると在庫がずれやすい状態でした。その結果、「あるはずのモノがない」、「ないと思ったら在庫があった」といったことがどうしても発生してました。
あとは、とにかくサーバーが重く、サイトが見れない。管理画面も開かずグルグル回っちゃってて作業が進まない、といったことが頻繁にありました。これは本格的にリニューアルしなくちゃダメだ、と思いつつも、踏み出すには覚悟が必要でした。

―販売スタッフ 仙石陽亮氏(以下、仙石氏)
新商品を公開する時に大きくタイムラグがあり、50点ぐらいをバッとアップしようとしても少しずつしか反映されない。サイトに繋がらない時間も定期的に発生するようになって、お客さまから「繋がらないよ」という問い合わせが頻繁に来るようになっていました。機能を追加するとサイトが重くなってしまう。軽くするためにまた手を入れる。その繰り返しを10年以上続けている状況でした。

そこで、システムの移行について管理会社に相談した。彼らも「システムを根本から作り換えた方がいい」と薦めるが、「独自のECサイトの開発は現在は自分たちの本業ではないので他をあたってみてほしい」と言われてしまう。暗中模索の中でたどり着いたのが、グローバルに展開するECプラットフォームのShopifyだった。
色々と検討した結果、Shopifyが候補に
―Shopifyがいいと思われた理由は?
―泉館長
大量の商品データを低コストで運営できそうな点、カナダの会社でグローバル展開しているので越境ECに強そうだという点が魅力でした。
プロレス格闘技というジャンルはニッチではありますが、その文化を丸ごと扱い、時代も超えて過去までさかのぼると商品の幅は限りなく広がり、制限がありません。しかし大企業のようにシステムに大金をかけることはできない。でもShopifyを使えば上手く移行できて、今後もビジネスを伸ばし続けられると思いました。
もう1点。私たちの商売は「マニアのための商売」です。心底好きな人がどっぷりはまる世界。そういったマニアは世界中に存在します。モノの取引を通して、そういったマニアの方々と直接繋がっていたいし、届けられる店でありたい。そう考えたときにShopifyなら海外からアクセスしやすい、買い物しやすいシステムが作れて、これまで以上の役割を果たせるのではないかと思いました。
―そのままShopify導入で決定しましたか?
―泉館長
最初はいける!と思ったのですが、毎日数百点の商品の登録作業を考えたときにShopifyの通常の登録方法では1つ登録するのに時間がかかりすぎる。これがボトルネックになるな、と感じました。
そこで、Shopifyと連携できるリユース業専門のクラウドサービスも検討したのですが、自由度がないんです。そのデータベースのやり方にうちが合わせないといけない。これまでのうち独自のやり方を変えたり、削らないといけない。そちらに合わせたら引き返せないし、20年以上溜めてきたデータベースも元通りに取り出せなくなる。非常にリスキーだなと思いました。
「shopikin」でShopify×kintoneの連携へ
Shopifyと連携できて、これまでのやり方を極力変えず、自由度と拡張性も見込めるサービスはないか、と検討しているときにベンダーから紹介されたのがスライベックスが提供するEC・店舗運営DXプラットフォームの「shopikin(ショピキン)」だった。shopikinであればShopifyとkintone(キントーン)をデータ連携し、kintoneに集約したデータを使いながら自由に業務アプリを作成できる。セミオーダーなのでカスタマイズもでき納期も早く、費用も抑えられる。
―初めてshopikinの説明を聞いた時はどう思われましたか?
―泉館長
正直な話、私はあまり詳しくないので、「便利そうだな」と思ったくらいです。でも、システム担当の中村の反応がとても良かったんですね。「これは凄い!何でも出来ます。そっくり移行できるんじゃないですか」と言ってました。
あとはスライベックスさんの誠実さに強く惹かれました。他社は簡単に「出来ます!」、「任せてください!」と言いながらこちらの要望をキチンと理解していなくて、後から確認したら「それはできないです…」ということがよくあったのですが、スライベックスさんにはそれがない。最初からこちらに目線を合わせて、要望を聞き出し理解した上で「こうすれば出来ます」と提案してくれる。それって当たり前のようで、なかなかできないですよ。これは信頼できるタッグパートナーを見つけたな、と思いました。既存システムの保守契約の終了期限も迫っていて、かなり焦っていたので救世主のように感じましたね。
―プロジェクトはどのように進行したのでしょうか?
―スライベック DXコンサルタント 前原成美氏(以下、前原氏)
プロジェクトの開始が2024年の12月でサイトの運用開始予定が2025年の3月。約4ケ月という短期集中のスケジュールを4つのフェーズに分け、確実に進行できるように週1のミーティングを設定しました。泉館長、現場担当の仙石さん、システム担当の中村さんの皆さんが毎回積極的に参加して下さって、真摯にプロジェクトに向き合って頂けたのでkintoneの開発はスムーズに進行できたと思います。


Shopifyに立ちはだかる大きな壁
kintoneの開発に関してプロジェクトは順調に進んでいたが、Shopifyとの連携については大きな壁が2度立ちはだかった。2025年1月、Shopifyには画像容量の制限はないと考えていたが、実際には300ギガまでの制限があり、追加したとしても500ギガまでというプロジェクトの根幹に関わる事実が判明。2025年2月、Shopifyへのデータの更新も当初は一度にアップすることを想定していたが、そこにも制限が存在。すぐに制限を使い果たし、1日に1000件しかアップできなくなってしまう。
―泉館長
商品データベースとそれに紐付けられた数百万枚の画像は闘道館にとって最大の資産です。それをフルに活用できることがシステムリニューアルの大前提。それができないとなると、プロジェクト自体の意味がなくなってしまいます。Shopify側の開発者に「申し訳ないですが、これはどうにもできません」と言われたときは万事休すでした。でもそんな時、前原さんがAWSを上手く活用する代替案を提案してくれて。「元画像だと制限をオーバーしますが、圧縮すれば何とか収まります」とアドバイスしてくれました。
中村も「自動で圧縮する仕組みを作ります」とすぐに動いてくれました。最初は圧縮するのも画質が落ちそうで嫌だったんですけど、圧縮後の画像でも充分キレイだったので採用しました。
―前原氏
画像にプラスして商品のデータベースが42万件もありました。同じ商品でも素材や状態によって各々違うので、すべてがオリジナルの一点ものになります。そこが普通の店舗とは大きく違うところです。そして、その全ての履歴が資産であって、データとして持っておく重要性は打ち合わせを経て私も実感していました。
その42万件のデータを移行する際、kintoneは制限なくスムーズに入っていくのですが、Shopifyは制限がかかってしまって。一番大変なところなので余裕をもってやりたいと考えていたので少し焦りましたね。
―泉館長
スライベックスさんは想定外の状況になっても冷静で、的確に対応してくれました。計画が狂ったときにどう対応するかは凄く重要ですよね。状況を判断してすぐに対応策を提案してくれるので素晴らしいな、と感じました。後半は本当に綱渡りのスケジュールになりましたが(笑)、一緒に’産みの苦しみ’を乗り越えたことで、より強い絆ができたと思っています。
予定通りに新ECの立ち上げへ
それらの大きな壁を乗り越え、闘道館の新しいECシステムは予定通り3月末にオープンを迎えることとなった。
―新しいシステムでこだわったポイントは?
―泉館長
まずは商品プライスカードの印刷やピックアップリストの出力など前のシステムでやっていたのと同じことは確実にできる、ということ。何かボトルネックがあってはいけない。例えば、画像の登録は1つの商品で多い時には10点くらいの写真を貼り付けるのですが、そこに時間がかかってしまうと満足のいく商品数を確保できなくなります。だから画面の遷移やスクロールなしで、なるべく一括で終わらせたいと思っていたので、前と比べてロスが大きいと感じた箇所は、どれも改善必須だとお願いしました。スライベックスさんは、ミーティングしながら私のイメージをすぐカタチにして、確認してくれたので非常に助かりました。
―前原氏
ShopifyはUIが固定されているので、どうしてもそれに従う必要があります。そうすると項目がたくさんあって、画面もスクロールしなくてはいけない。闘道館さんの場合、商品数が多いので、どうしても時間もかかってしまいます。なので、今回は入力フォームをkintoneで作りました。kintoneであれば項目の並べ方を自由に変えられます。以前の使い慣れたシステムと同じように組んで、1画面に集約するようにレイアウトして、スクロールすることなく1度に登録してアップできるようにしました。

―新しいシステムで満足されているポイントは?
―泉館長
kintoneで商品登録が想像以上に使いやすくなった点に加え、データをローカルで持たなくてよくなり破損の不安がなくなったのは大きいです。クラウドなので検索してもサクサク、安定性も抜群。画像も旧サイトより大きく表示できるようになりました。Shopifyの強みである英語表示切り替えや現地通貨対応も、海外のお客様から非常に好評です。
―仙石氏
やっぱりスピード感ですね。何か間違えた情報をアップしてしまっても、気づいたらすぐに編集・修正できるのは助かります。商品はほとんどが「一点物」なので、情報の正確さは特に重要なんです。
じつは導入前はシステムが変わることについてスタッフから不安の声がありました。1日に多い日だと500点以上という量をアップしていたので、果たしてそれを維持できるのか。でも、kintoneの登録方法を以前のシステムに近づけてもらったので、2ケ月目にはみんな慣れて前と同じ数字をキープできています。売り上げもリアルタイムで把握できるので、在庫のズレも大幅に減りました。

―今後の課題は何かありますか?
―泉館長
導入して半年経って、データも揃ってきました。せっかくkintoneを使っているので、そのデータを分析して今までは気づかなかった視点から改善点をみつけていきたいと思っています。トランプ関税の影響など、外部要因もありますが、嘆いてもしょうがない。データを分析して、売上構造を見直したり、業務の最適化を進めたい。ローカルで管理しているマニュアル類もkintoneに集約して、勤怠管理まで一元化したいですね。
―前原氏
どうしても最初の半年ぐらいは慣れる段階になると思います。これから分析と改善のステップに進んで頂きたいですね。顧客ごとに数字を分析するアプリを作成して顧客管理を始めたり、そのデータを元に何か施策を検討したり、色々な改善が行えるようになると思います。業務アプリを自由に作成できるので、1日の業務の中でkintoneに移行できることはたくさんあると思うので、他の業務に広げていけるお手伝いができればと思っています。
―泉館長
心強いです!!(笑)
―前原氏
引き続きよろしくお願いします!
